足元が暖かく快適な住環境をアシストしてくれる(であろう……)床暖房。
設計時に取り入れるかとってもとっても悩みました。「憧れの床暖房をどうしても設置したい!」と思っていましたが、結論から言うと床暖房は無しで決定。
ちなみに、木造住宅です。
床暖房が本当に必要なのか? 実際に新築の木造住宅に住んでみた感想をまとめてみます。
「床暖房」を設置しないことに決めた理由
床暖房が必要かは、設計のはじめから最後まで本当に悩んだ点でした。
でも、工務店からのアドバイスやコスト、他の建材との相性などいろんなことを考えて設置しないことに。
床暖房をやめた(諦めた、と言ったほうが正しいかもしれません)理由を振り返ってみようと思います。
①極寒の地域ではないので床暖房は諦め
まずはマイホームを建てた立地の前提条件として、とくに豪雪地帯でもないし、冬も寒いけれど極寒の環境でもありません。
比較的住みやすい気候なので、エアコンを暖房にしたり、ガスファンヒーターを使えば意外と暖を取れるのでは? と考えました。
注文住宅に決める前は、たくさんの建売住宅を見て回りましたが、床暖房が付いている家とそうでない家は半々くらいだったイメージです。良いお値段の建売住宅には床暖房が付いていましたが……。
この辺りでは床暖房はコストに余裕があれば付ける、くらいの感覚なのかなと思います。
寒い地域に家を建てることになったら、他のオプションよりも床暖房の優先順位が上がったかも。
②コスト的に床暖房よりも無垢フローリングを優先
▼床暖房と無垢フローリングは相性が悪い
床暖房と同時に「無垢フローリング」にも憧れがあり、どちらも実現したい夢でした。でも、実はこの二つは相性があまり良くありません。
無垢フローリングは、熱に弱いからです。
この二つを組み合わせるためには、床暖房に対応したコストの高い無垢フローリングを使う必要が出てきます。
▼無垢フローリングはそれ自体がほんのり暖かく感じる
また、無垢フローリングは天然の木を使っていることから、化学的に作られた通常のフローリングよりも温もりを感じます。
部屋の湿度を吸ったり排出したりして、快適な状態を保ってくれる効果もアリ。
実際にフローリングの見本を触り比べて検討しましたが、確かに無垢フローリングのほうがヒヤッとしない感覚がありました。(無垢フローリングは良い物だという固定観念からそう感じただけかもしれませんが、それでも住むなら心地よいものの方が良いです。笑)
▼床暖房と無垢フローリングを両方叶えるコストの余裕がない!
設計時に床暖房や無垢フローリングの見積もりをしてみたところ
◇ 無垢フローリング = リビング&廊下17坪分で「15万円」
でした。
これを同時に叶える場合、2つ合わせた「65万円」+「床暖房に対応した無垢フローリングへのオプションコスト」がさらに追加されます。
注文住宅の設計時って、金銭感覚が麻痺しがちです。が、こんな大金、なかなか捻出できません!
実は工務店さんのご好意で、無垢フローリングへのアップデート価格がかなり抑えられていたのですが、それでもやはり高いです……。
さらに他にもコストでつまずくことがたくさんあって、とても床暖房まで手が回らないのが現状でした。
そんなこんなで、泣く泣く床暖房は諦めて、無垢フローリングのみを採用することに。
※見積もりに関してはHMや工務店によってかなり差があるかと思うので、あくまで参考程度にしてみてください。
③今の木造住宅は高気密・高断熱で保温効果が高い
昔の木造住宅は隙間風が吹いて寒い……なんて話を聞きます。
賃貸暮らしが長かった私達は、正直いって木造住宅の機能性をなめていました。
今の時代の木造住宅は、とにかく高気密・高断熱で保温性が高いのが特徴。
暖房で暖めた空気を逃がさず、部屋の温度をキープしてくれる優れものです。日差しが強い日は、カーテンを開けておくだけで幾分か暖かくなります。
そんな説明を工務店から受けたことで、床暖房を諦める決意ができました。
これは住んでみてから実感したことですが、性能の良い断熱材を使ったことで家の中の快適な温度を保てているので、床暖房無しでも不自由なく暮らせています。
④壊れてしまったときの修理が大変……
最後の決め手が、「床暖房は維持するのが大変」という点。
どんなに性能が良くて壊れにくい床暖房だとしても、100%故障しないなんて保証はありません。
床暖房は壊れにくいアイテムではありますが、万が一10年後・20年後と家が古くなったときに壊れてしまったら、修理するのにまたコストがかかります……。
ローンの返済だけでも大変なのに、また余計な修繕費がかかるのは勘弁してほしいというのが結論でした。
その結果、維持がしやすい無垢フローリングだけで我慢することに。
床暖房のない木造住宅の住み心地は?
あーだこーだと検討を重ねて最終的に床暖房を諦めましたが、実際の住み心地は総合的に良いです!
冬も快適に過ごせたのですが、ちょっとだけ後悔ポイントもあります。住んでみて感じたことをまとめてみます。
総合的に床暖房がなくても満足! 特に2階リビングは暖かい
憧れの床暖房は諦めましたが、実際に住んでみた感想はかね満足です。
引越して一度冬を越しましたが、問題なく過ごせています。
我が家は2階リビングなのですが、特に2階は冬でも暖かいのが嬉しいポイントです。
使っている暖房器具は、ほぼエアコンのみ。寒くて耐えられない日のみ、ガスファンヒーターを使っていますが、正直言って冬の間使った日はそんなにありません。
足元の冷えが心配だったのですが、靴下とスリッパで難なく乗り切れてしまいました。
裸足で過ごしても、無垢フローリングの柔らかい暖かさでヒヤッとする嫌な感覚はありません。
1階は床暖房があった方が良かったかも……
木造住宅は1階がけっこう冷えます。それは、冷たい空気は下へ下へと流れるからです。
だから、2階がどんなに暖かくても1階はちょっと寒いです。
もし、床暖房を導入するか検討している方がいたら、「設置するなら1階に!」ということを声を大にして伝えたいです。
コスト的に、リビングのみに床暖房を設置するという話を良く聞きますが、2階リビングの場合は正直必要ないかと思います。それよりも、1階の寝室に床暖房をつけることをぜひおすすめしたいです。
このことに早く気がついていれば、寝室のみに床暖房を取り入れて、コストを抑えつつ満足度をもっと上げれたと思います。床暖房についてちょっと後悔したポイントです。
洗面所やトイレなど暖房が置きにくい場所は床暖房が欲しい……
洗面所やトイレなど、狭い空間は暖房が置きにくいですよね。こういった場所も、床暖房向きの空間です。
特に冬場の洗面所は、お風呂上りに冷えてしまうこともあるので床暖房があればもっと快適だったかも……。
先ほどの1階の話もそうですが、実際住んでみて分かったことなので仕方ありません。
床暖房は地域やコストに余裕があるなら検討を
床暖房を設置しなかった理由や、床暖房のない木造住宅に実際に住んでみた感想をお届けしてきました。
床暖房は、家を建てる地域によって必要性が変わってくるアイテムです。
また、コストに余裕があるなら絶対につけた方が良いに決まってます。(そんなご家庭が羨ましい~!)
ぜひ、ご自身の生活に合わせて床暖房が必要かを考えてみてくださいね。我が家の経験がご参考になれば幸いです。